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デンマーク ・ ヘルシンガーからの便り  08

「デンマークのクリスマス」

2007/12/05小野寺綾子 / ヘルシンガー

11月に入ると一日一日と日が短くなり、午後4時には暗くなります。 雨やどんよりとした曇りの日が続くと、気分的に太陽の光やキャンドルの火が恋しくなります。 11月中旬から12月26日まで丸一ヶ月がクリスマスの月です。 年々クリスマス商戦に突入するのは早くなっており、10月中旬の秋休みが終わると、商店ではクリスマスに飾る人形、キャンドル、御菓子などを売り出します。 国中がクリスマスに向かって動いている感じです。

 デンマーク語ではクリスマスをユール(jul)と言います。 ユールは年の変わり目や祭りの意味で、キリスト教が伝達される前、バイキング時代に12月に生贄を神に捧げた祭りと結びついたものです。

 12月は、会社や仲間でユールフォーガスト(クリスマスの昼食の意)というデンマーク版忘年会があります。 クリスマスのプレゼントの買い物をするため何度も買いに歩いたり、御菓子を作ったり、クリスマスカードを書いたりとなにかと慌しい月です。 普段教会とは縁のない生活をしているデンマーク人も、この時期には教会のクリスマスコンサートに行きます。

 コペンハーゲンのチボリ公園は冬季に営業をしていませんでしたが、約10年前から冬もクリスマスにあわせて開園を初めました。 美しいイルミネーションとクリスマスマーケットを目当てに来る人が多くなり、冬のイベントとして定着しました。

 ヘルシンガーでも、町の広場に一ヶ月ほどクリスマスマーケットを開くようになり、週末は大変な賑わいです。 懐かしい観覧車や木馬の乗り物があったり、手芸品、クリスマスツリー、クリスマスの飲み物を売るスタンドが並びます。

 北欧のクリスマスというと、なにか雪におおわれたロマンチックな感じがしますが、デンマークで雪のクリスマスになるのは、めったにありません。 たいてい雨か曇りのクリスマスです。

 クリスマスはサンタクロースよりも、赤色のハート、ニッサの時です。 ニッサは普通人の目には見えない小人の老人で、農家の納屋の天井に住む守護神です。 街や家庭、商店では赤い帽子を被ったニッサの人形がよく飾られています。 クリスマスツリーの風習はドイツから、ルシア祭はスウエーデンからなど、デンマークのクリスマスの習慣は近隣諸国から入ってきています。

 12月24日のクリスマスイブは日本のお正月のように、家族が集まる時です。 商店、会社、官庁は24日から26日まで休みます。 クリスマスツリーを買っても、家の外に出しておきます。 室内で飾りつけをして、ツリーにキャンドルの火をともすのは、24日の晩です。 ツリーの下にプレゼントを置き、夕食をします。 大人でも子供でもクリスマスの一番の関心ごとは24日の晩にもらったり、あげたりするプレゼントです。 本人から希望のリストをもらい家族で相談しながらダブらないようにします。 プレゼントが気に入らない、サイズがあわない時のため、プレゼントは必ず交換できるマークを張ってもらいます。

 クリスマスに海外や親戚の家に行ったりして、家を空ける人が多いので、空き巣に狙われる家がとても多いです。 27日から商店で年末大バーゲンセールが始まります。 プレゼントを買い替えに来る客、品物の代わりにお金をもらう客で大変な混雑です。

 大晦日の晩は友人たちと過ごすのが一般的です。 伝統的な食べ物は鱈料理です。 元旦を休んで2日から仕事に行きます。 年が明けると職場では6月、7月の夏休みの休暇に誰がいつ、どのくらい休みを取るのかなど話が始まります。

写真は全て小野寺綾子氏撮影
全ての内容について無断転載、改変を禁じます。

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赤い本でまとめた古本屋の飾りつけ

■ 赤い本でまとめた古本屋の飾りつけ

■ 赤い本でまとめた古本屋の飾りつけ

コンゲンスニュートウ広場で夕方スケートをする人たち

■ コンゲンスニュートウ広場で夕方スケートをする人たち

■ コンゲンスニュートウ広場で夕方スケートをする人たち

ヘルシンガーのクリスマスマーケット

■ ヘルシンガーのクリスマスマーケット

■ ヘルシンガーのクリスマスマーケット

商店のクリスマスセール

■ 商店のクリスマスセール

■ 商店のクリスマスセール

ニッサの格好をした鼓笛隊

■ ニッサの格好をした鼓笛隊

■ ニッサの格好をした鼓笛隊

木馬に乗る子供たち

■ 木馬に乗る子供たち

■ 木馬に乗る子供たち

窓辺のキャンドル

■ 窓辺のキャンドル

■ 窓辺のキャンドル

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