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デンマーク ・ ヘルシンガーからの便り  58

「BIG設計のごみ焼却施設、アマーバッケ」

2020/1/19小野寺綾子 / ヘルシンガー


アマ―バッケはコペンハーゲン市と周辺の4つの自治体が所有するAmar Ressource Center(ARC)の 電気と暖房用などの熱を作る最新の施設です。 焼却する50%のごみは約60万人の家庭ごみで、残りの50%は会社や工場からです。 ごみ処理場は36mの深さの焼却炉が2つあります。 毎時25−30トンのごみを2時間ほど950℃から1000℃の高熱で燃やし、24時間作動しています。
BIGが2010年にコンペで発表したアマ―バッケの屋根を利用してスキースロープにするという計画は、ちょっと意表を突く発想でした。 完成図を見て本当に実現可能なのかと思いました。 2013年から始まった建設工事は一時資金不足で完成が危ぶまれましたが、2017年から焼却炉が稼働しています。 2019年春にオープニング予定だった人工芝のスキー場は安全性の問題があり、ようやく2019年10月4日に可能になりました。
アマ―バッケは人魚像のあるラングリニア、アマリエンボー王宮のほぼ対岸にあります。 煙突から白い煙を出して軍艦のような巨大な建物です。85メートルの高さからコペンハーゲン市内、ウアソン海峡に並ぶ風力発電の風車、スウエーデンにある元原子力発電所バスベックなど見渡すことができます。
長さ200m、幅60mの建物全体は四角い模様の灰色のアルミで覆われています。 太陽の当たり具合で、表面は銀色に輝いたり、黒く見えたりします。 アマ―バッケの後ろ側や横に他のエネルギー施設とガラスなどごみを収集する施設があります。 そこは立ち入り禁止地域ですから、残念ながらアマーバッケの周りをぐるりと見て歩くことはできません。

建物の中はスキー場の屋上に上がる時、ガラス張りのエレベーターから垣間見ることができます。 電力を起こす蒸気タービン発電、排ガスをきれいに浄化する洗煙設備のパイプ、灰をスラグにする灰溶融設備など大きなパイプやそのパイプを支える無数の支柱などで建物の空間はぎっしり埋まっています。
アマ―バッケは個人の見学は受け付けていません。 国民学校7年から9年生(日本の中学1年から3年)は社会科の見学が可能です。 団体は8人から25人まで有料で見学できます。

アマ―バッケのスキー場は、コペンヒル(Copenhill)と呼ばれます。
スキー場の管理と運営はコペンハーゲン市や5つ自治体、企業の文化財団が組織するFondon Amager Bakkeが行っています。 コペンヒルの見学と頂上の展望は自由に解放されており、無料です。 ゲレンデに沿って左右に階段とセメントで固めたトレッキング用の坂道があります。 登り口から約15分で頂上に行けます。 途中で一休みして、振り返ってあたりの風景を見ることをお勧めします。 登り口から頂上に行くエレベーターもあり、休憩所で有料でコーヒーが飲めます。
デンマークは山がほとんどなく、最近あまり雪が降りません。 雪が降ると丘を利用してそりをする子供がたくさんいます。 スキー人口は多くないので、オリンピックのウインタースポーツはノルウエーやスウエーデンにまったく太刀打ちできません。 スキーを趣味にするデンマーク人はスウエーデンやスイスまで出かけてスキーをしています。 一年中スキーができるのは、スキーファンにとって明朗でしょう。 でも、この冬イタリアでスキーをするデンマーク人はスキーの環境が違うし、スロープが短いと言ってコペンヒルに興味を示しません。 ある人は人工芝なので、転ぶと痛いと言っていました。 転んでもよいようにヘルメット着用、長袖、長ズボンを履くように奨励されています。
アメリカのAlpen Design社が、イタリア製のシリコーンの人工芝が使用された4000uの広さのスキースロープをデザインしています。 同社はノルウエー、スウエーデン、日本などでスキースロープを設計したことがあります。

スロープのランドスケープデザインはSLAです。 SLAはデンマークの建築家と組んで仕事をしたり、ノルウエー、フランス、中国などで仕事をしている国際的なデンマークのランドスケープデザインの事務所です。 SLAは強い風や煙突から出る熱い煙に耐える草木を選定し、デンマークの自然を再現しています。 スキーヤーがリフトに乗って頂上に到着して、海が見えるコースを滑るのは面白い光景です。 頂上からスロープを滑り、大きな曲線を描き左に旋回して下がってきます。 階段を登っていると、スキーヤーが音を立ててコースを降りていきます。 頂上から下まで500mの長さは約1分20秒掛かります。

スキー場の開園時間は月曜―金曜日は12時から20時。 週末は10時から18時です。 強風、悪天候の場合は閉鎖されます。 週末の10時から14時は親子でそり滑り、スキー教室など活動が準備されています。 自分のスキー道具を自由に持ち込めます。 別館にあるスキー道具店で、スキー道具を有料で貸し出ししています。
スキーやスノーボードは1時間一回150dkr(約2430円)。年間パスは2種類あり、安いパスは1495dkr(約24000円)です。ウェッブサイトから滑る時間を予約します。

個人でのコペンヒルを見学するツアーコースは英語月曜日、デンマーク語水曜日にあり、いずれも16時より有料でサイトから申し込みをします。 コペンヒルではスキーとスノーボード、坂にある道を利用してトレッキング、ランが可能です。 2020年春にアマーバッケの外壁を伝って80mの高さまで登るクライミングスポーツができるようになります。

https://www.a-r-c.dk/amager-bakke アマーバッケごみ焼却場サイト
https://www.copenhill.dk/en/ コペンヒル英語版サイト

写真は全て小野寺綾子氏撮影
全ての内容について無断転載、改変を禁じます。

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■ 近くのアパート側からみたアマーバッケ。モウモウと白い煙がたなびく。

■ 近くのアパート側からみたアマーバッケ。モウモウと白い煙がたなびく。

■ アマーバッケの全景。右側のネットで覆われた部分の壁にスポーツクライミングをする設備ができる予定。

■ アマーバッケの全景。右側のネットで覆われた部分の壁にスポーツクライミングをする設備ができる予定。

■ アマーバッケの外見。

■ アマーバッケの外見。

■ 頂上にリフトが見える。

■ 頂上にリフトが見える。

■ 日に照らされて輝くファサード。

■ 日に照らされて輝くファサード。

■ 焼却炉の内部。太いパイプとそれを支える支柱設備などで、空間は詰まっている。

■ 焼却炉の内部。太いパイプとそれを支える支柱設備などで、空間は詰まっている。

■ 焼却炉の内部。太いパイプとそれを支える支柱設備などで、空間は詰まっている。

■ 焼却炉の内部。太いパイプとそれを支える支柱設備などで、空間は詰まっている。

■ 焼却炉の内部。太いパイプとそれを支える支柱設備などで、空間は詰まっている。

■ 焼却炉の内部。太いパイプとそれを支える支柱設備などで、空間は詰まっている。

■ 手すりのある階段、ジョギング道。

■ 手すりのある階段、ジョギング道。

■ 階段にある85mの標識。

■ 階段にある85mの標識。

■ スロープを下りてきたスキーヤー。

■ スロープを下りてきたスキーヤー。

■ 坂を滑るスキーヤーと手前のデンマークの自然を再現した植物。

■ 坂を滑るスキーヤーと手前のデンマークの自然を再現した植物。

■ 途中で来た道を振り返ると, 屏風のように曲がったアパートが見える。

■ 途中で来た道を振り返ると, 屏風のように曲がったアパートが見える。

■ 登る途中に見えるヨットハーバー。道の途中にベンチがある。

■ 登る途中に見えるヨットハーバー。道の途中にベンチがある。

■ 坂の所はベルトコンベヤーみたいのにのり、途中にあるリフトまで行く。

■ 坂の所はベルトコンベヤーみたいのにのり、途中にあるリフトまで行く。

■ 頂上から見える風力発電の風車、港のタンク、スウエーデンの風景。

■ 頂上から見える風力発電の風車、港のタンク、スウエーデンの風景。

■ 頂上にあるリフト。

■ 頂上にあるリフト。

■ リフトに乗るスキーヤー。

■ リフトに乗るスキーヤー。

■ 頂上で写真を撮る見学者たち。

■ 頂上で写真を撮る見学者たち。

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