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デンマーク ・ ヘルシンガーからの便り  46

「新しくなったノアポート駅とイスラエル広場」

2016/4/25小野寺綾子 / ヘルシンガー

今回の話は少し古くて、恐縮です。 2014年4月に3年ぶりにノアポート駅(Noerreport station)の改修工事が終了しました。 コペンハーゲン中央駅からS電車で2つ目のノアポート駅は、地下にあります。 この駅はS電車、郊外電車、さらに地下鉄2本が乗り入れるので、一日の乗客が約5万人とデンマークで一番利用者が多い駅です。 もし、デンマークで大きなテロ事件が起きるなら、多くの人が乗り降りするこの駅が標的になるだろうと言われています。

改修計画は、新しい駅ビルを建てるのではなく、地下にある既存の施設の再生と駅の出入り口の緩和でした。 プラットホームは暗く、電車の排気で煤けていました。 空気汚染と、騒音がひどかったです。 プラットホームは歩きやすくなりましたが、拡張されず、狭いままです。 換気と照明が改善され、明るく、静かなホームになりました。 地上には、構内から上がる円筒形の長い換気溝が、10本ほど出ています。 夜になるとその換気溝が薄い青色に変わり幻想的です。

以前は、地上部分に出ているノアポート駅の出入口は、2本のバス道路にはさまれて、川の中州のように細長かったです。 便利になったことは、バス路線を一本に統一し、残りの道路を歩道に拡張したことです。 駅の出入口から信号待ちをせずに、ストロイエに通じる歩行者道路に行けます。 道路より約40cm低い位置に自転車置き場作りました。 約2000台おけるように増やしたので、駅の出入り口周辺に散乱した自転車がなくなり、すっきりしました。 地下の出入口は、雲のような白い有機型の屋根と細い柱がある建物です。 屋根が広いので、天気の悪い日に人と待ち合わせる時、非常に便利です。

ノアポート駅の後ろにあるイスラエル広場(Israel plads)は、市庁舎広場より大きい広場です。 広場は、べナースゲードVendersgadeを挟んで2つに分けられています。イスラエル広場は1889年から1958年まで、近郊から馬車で野菜を売りに来た農家の人でにぎわいました。 その名残でグロントウ(Groenne Tove 緑の広場と言う意味)と呼ばれていました。 今でもイスラエル広場と呼ばず、グロントウと呼ぶ人が多いです。 第二次世界大戦中、市民やレジスタンンス運動の人が協力してデンマークに居たユダヤ人を、数日間で敏速にスウエーデンに逃がしました。 1975年、イスラエルから贈られた感謝の赤い石の記念碑があります。

1990年代半ばごろまで広場のテントで、威勢のよい声で野菜、果物が売られていましたが、野菜市場はしだいに寂れてしまいました。 1990年からコペンハーゲン市と民間がこの広場を共同開発する計画がありました。 案が出るたびに挫折して、現実には長い時間が掛りました。 ハンス・ピーター・ハ―エンス(Hans Peter Hagens 1963- )が1997年に設計した案が採用され、ようやく2011年にト―ブハンドル(Tovehaandel)という名称の2棟の鉄骨のガラス張り平屋、地下一階の建物ができました。 建物は機能的に作られ、仕切られたスタンドに店が構えています。 店によっては、営業面積が非常に狭く、買った食品を食べるスペースが限られています。 設計者は、南スペインのコルドバにあるメスキータ回教寺院の縞模様のアーチが並ぶ「円柱の森」から、インスピレーションを得て市場を設計したそうです。 壁ガラスに、女性陶芸家が白い色で花、食器、野菜、果物など楽しそうなイラストを描いています。 市場ではパン、ケーキ、チーズ、ワイン、チョコレート、精肉、魚貝類、調理器具など北欧と地中海方面の食品、食材が中心に売られています。 値段はやや高めですが、質の高い良い品をそろえた60件の専門店が入っています。 年中無休なので、いつも買い物客でにぎわっています。

広場を横切る道の反対側の広場では、野外の催し物に使える階段状の場所が2か所作られました。 柵で囲まれたスポーツができる場所の周りは、コンクリートブロックから、転んでも怪我しないような弾力性のある柔らかい床に換えられました。
この広場は、さらに先にあるウアテッド公園Oersteds Parkenとつながっていて、連続感があります。 広場から流れる雨水は、その公園の池に流れて行く計画でした。 残念ながら環境保護の問題も絡んで実現せず、直接下水に流れています。 広場の地下には1000台収容できる3階建ての有料駐車場があります。

ノアポート駅とイスラエル広場の改修設計はCOBE(コ―ベ)設計事務所が担当しました。COBEは日本でBIGほど知名度は高くありません。 COはコペンハーゲン, BEはベルリンの頭文字を取った名前です。 ダン・スツーバゴ―(Dan Stubbergaard 1974−)はオランダのMVRDVのもとで研修し、2年間BIGの創始者ビアケ・エンゲルスと共に建築事務所PLOTを作り活動しました。 ウアステッドにあるVMハウスや、マウンテンはその時の建物です。 彼は、2005年にパートナーのドイツ人の大学教授ヴァネッサ・ミルアム・カールロウ(Vanessa Miruam Carlow 1975-)と共にCOBEを立ち上げ、設計事務所は、コペンハーゲンとベルリンにあります。

写真は全て小野寺綾子氏撮影
全ての内容について無断転載、改変を禁じます。

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プラットホームの傾斜が直り、歩きやすくなった。構内の空調設備と照明が良くなり、明るくなった。

■ プラットホームの傾斜が直り、歩きやすくなった。 構内の空調設備と照明が良くなり、明るくなった。

■ プラットホームの傾斜が直り、歩きやすくなった。 構内の空調設備と照明が良くなり、明るくなった。

駅の出口から離れた所に、自転車置き場が作られ、出入り口が混雑しなくなった。

■ 駅の出口から離れた所に、自転車置き場が作られ、出入り口が混雑しなくなった。

■ 駅の出口から離れた所に、自転車置き場が作られ、出入り口が混雑しなくなった。

仕事場から見たノアポートの風景。自転車置き場と電車の出入り口がある屋根のに
は、植物が植えられ、太陽パネルが部分的に置かれている。

■ 仕事場から見たノアポートの風景。自転車置き場と電車の出入り口がある屋根のに は、植物が植えられ、太陽パネルが部分的に置かれている。

■ 仕事場から見たノアポートの風景。自転車置き場と電車の出入り口がある屋根のに は、植物が植えられ、太陽パネルが部分的に置かれている。

人が立っているあたりは、狭い道でバスが通る混雑した道だった。
駅からの歩道を拡張して、ストロイエに通じる歩道に変わった。

■ 人が立っているあたりは、狭い道でバスが通る混雑した道だった。 駅からの歩道を拡張して、ストロイエに通じる歩道に変わった。

■ 人が立っているあたりは、狭い道でバスが通る混雑した道だった。 駅からの歩道を拡張して、ストロイエに通じる歩道に変わった。

食品売り場は手前と後方2棟ある。2棟ある間の空き地には、花屋、エコロジーの野
菜などを売る店が露天で出ている。

■ 食品売り場は手前と後方2棟ある。2棟ある間の空き地には、花屋、エコロジーの野 菜などを売る店が露天で出ている。

■ 食品売り場は手前と後方2棟ある。2棟ある間の空き地には、花屋、エコロジーの野 菜などを売る店が露天で出ている。

食品市場の構内。鉄骨、ガラス張りで単純明快な作りになっている。

■ 食品市場の構内。鉄骨、ガラス張りで単純明快な作りになっている。

■ 食品市場の構内。鉄骨、ガラス張りで単純明快な作りになっている。

売ってる食品をその場で食べられるスタンドもある。

■ 売ってる食品をその場で食べられるスタンドもある。

■ 売ってる食品をその場で食べられるスタンドもある。

女流陶芸家が描いたガラスのイラスト。

■ 女流陶芸家が描いたガラスのイラスト。

■ 女流陶芸家が描いたガラスのイラスト。

道を隔てた反対側のイスラエル広場から見た食料品売り場とスポーツ広場。

■ 道を隔てた反対側のイスラエル広場から見た食料品売り場とスポーツ広場。

■ 道を隔てた反対側のイスラエル広場から見た食料品売り場とスポーツ広場。

イベントの時座れるように、イスラエル広場の角に2か所作られているピラミッドに
似た階段状もの。
階段の高さが結構高い。

■ イベントの時座れるように、イスラエル広場の角に2か所作られているピラミッドに 似た階段状もの。 階段の高さが結構高い。

■ イベントの時座れるように、イスラエル広場の角に2か所作られているピラミッドに 似た階段状もの。 階段の高さが結構高い。

広場から集められた水は、隣接した公園の池に流れる計画だった。広場の左側に地
下駐車場の入口が見える。

■ 広場から集められた水は、隣接した公園の池に流れる計画だった。広場の左側に地 下駐車場の入口が見える。

■ 広場から集められた水は、隣接した公園の池に流れる計画だった。広場の左側に地 下駐車場の入口が見える。

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