■ -「目次」に戻ります - ■

デンマーク ・ ヘルシンガーからの便り  29

「ローマハウス:屋根裏の断熱材、郵便受け、空き巣対策」

2012/3/20小野寺綾子 / ヘルシンガー

昨年10月に、知人の助けを借りて家の天井裏にロックウールの断熱材を入れる修理をしました。
断熱材を入れた場所は、寝室、小さい仕事部屋、玄関、トイレ、暖房室、台所など居間を除く家の大部分の天井です。 私たちが入居するかなり前に入れてあった断熱材が古くてスカスカの状態になり、断熱効果がなくなってしまったことです。 こんな断熱材を入れる作業にも文化保護委員会に、書類と図面を出して仕事の許可が必要です。 その代わり断熱作業に掛った費用は、税金から控除することができます。 今回は一抱えもある断熱材の大きいパックを合計7個使いました。

知人はこれまで、知人自身の家はもちろんのこと、住んでいる近所の家に断熱材を入れる仕事を手伝った豊富な経験がありました。 持参した道具は用意周到で、仕事の手順は非常に手際よかったです。 知人は膝の部分を補強したズボンを履き、放射能を除染する時のような、頭からすっぽり体を覆う白い化繊の作業着を着ました。 顔に埃避けのマスク付けて、頭にヘッドライトと帽子をかぶりました。

玄関、台所などの天井は低くて狭く、50年間のほこりが積もっていました。
知人は食事を取る時間も惜しいように、朝早くから夕方暗くなるまで天井を這いつくばって断熱材を入れる作業をしてくれました。 2-3日で終わるかと思われた仕事は、泊まり込みで通算5日ほどかかりました。 新しい木を入れて寝室の上の天井裏を広くする仕事もしてくれました。 軒によく蜂が巣を作るので、天井側から軒の木の中に蜂避けネットを張りました。 玄関のランプのある場所にも虫避けネットを張りました。 以前ここに大きな蜂の巣が作られたことがあります。 夏に昆虫がランプの中に入るので、ランプの底に死んだ虫が黒いカスのように溜まります。 ランプの中も久しぶりに掃除したので、綺麗になりました。
ローマハウスは、地下室がなく、使わないものの置き場は唯一車庫の上にある屋根裏です。 知人が、屋根裏を広くしてくれたので、物を置くのにかなり余裕ができました。
屋根裏には、すでに生産していないので予備のために備蓄している屋根瓦、旅行トランク、クリスマス飾り、飾らない絵、捨てられない家具、木材、ヨットの帆などかさばる物がたくさんあります。 主人は、一本のネジ、一片の木材でさえ、いずれ使う時があると思って捨てられない性格ですから、家の道具箱や大工道具を置く部屋はそんな物であふれています。
1月下旬に寒波が来て日中でも氷点下の気候が続きましたが、御蔭で寝室など断熱材を変えたので温かく感じました。 暖房費も節約できました。

2012年1月1日から郵政法が変わりました。
新しい法律により各家の郵便受けは、郵便配達人が郵便物をいれやすいように、公道のある庭前(門などのあたり)に郵便箱を設置しなくてはならなくなりました。 地上から郵便箱の手紙を入れる開口部までに高さの規定があり、その高さは1.12mです。 これまで、郵便配達人がバイクや自転車から降りて、家のドアや門付近に置いた郵便受けに郵便をいれていましたが、バイクに乗ったまま道から郵便を入れることができます。 住宅地では昨年12月末から様々な種類の郵便箱が家の前に出現しました。
身体的障害などで、家から道路の前にある郵便箱に手紙を取りに行けない人や高齢者は、自治体から郵便箱を免除する許可が必要です。
規定通りに家の前に郵便箱を設置していない人は、郵便物が配達されず、最寄りの郵便局に手紙を取りに行くことになります。
国の文化指定を受けている建物は新しい法律以外になります。 ローマハウスは、国の文化保存建物なので、従来通りにドア越しに郵便を配達してもらえます。
もっともローマハウスで郵便箱は、以前記事に書いたようにバラバラです。 本来はドア越しに郵便受けがあるのですが、玄関に郵便箱を設置している人、入口のレンガを改造して郵便受けを作っている人など様々です。 郵便箱と取り付け場所、大きさは統一性がありません。 広告チラシは郵便配達が配るので、不必要の場合はドアや郵便受けに「配達無用」のシールを張っておきます。
新聞の日曜日版は厚く、ドア越しに厚い新聞が入りきれなくて新聞が破けてしまいます。 新聞配達人によっては、ドアに入れず、玄関マットの上に置いていく人もいます。 週末不在の時、新聞がドアのマット前にあるのは、家に誰もいない印です。デンマークは空き巣が多いので要注意です。
最近はローマハウスで空き巣がありませんが、15年ほど前に、近所4件が空き巣に入られて、ビデオデッキ、現金、貴金属などを盗まれています。 家が出来て50年間の間に、最初より庭を囲む壁が高くなり、かえってそれが視線を遮るようなっている家がたくさんあります。 隣の家は、平日の午前中に大胆にも台所の窓についている格子戸をはずされ、小さい台所の窓から入られました。 それ以来隣の家族は犬を飼っています。 空き巣被害は、人が仕事や学校に行って不在な、平日の午前中が一番多いという統計があります。

ですから私の家ではできるだけ空き巣対策をしています。 庭に向いた窓に特別な金具を付けて外から空けられないようにしています。 短時間外出する時でも必ず、金具を閉めます。 玄関ドアや庭に出るドアの鍵も簡単に開かない種類にしています。 大事な物は銀行に預けています。 夜間外出の場合は、玄関の街灯を付けておくのはもちろん、居間に電気を付けます。 亡くなったヤコブさん宅は洗面所にラジオを置いて、外出の時はラジオを付けて人がいるような気配にしていました。
空き巣とは別に、有名デザイナー家具やランプを盗む窃盗団もいます。 彼らは公共施設、家具店、個人宅からデザイナー家具などを盗みます。 特に狙われやすいのは、新聞やウェッブ上の不動産広告に家や部屋の様子が載っている売り出し中の家です。 広告の写真で住所や部屋にどんな家具があるのか一目了然です。 近頃不動産屋は部屋の内部の写真掲載を控えたり、そのような家具を除いて写真を取っています。 窃盗団は目利きではないので、有名デザイナー家具に非常に良く似たコピーの家具まで盗んでしまうのだそうです。
近年東欧がEUに加盟したので、国境の検問所が廃止されました。 その結果東欧からプロの窃盗団がデンマークに来るようになり、空き巣被害が増えています。

写真は全て小野寺綾子氏撮影
全ての内容について無断転載、改変を禁じます。

enlargeenlarge  写真はクリックすると拡大します。

新しく木を入れて広くなり、物がおけるようになった天井裏

■ 新しく木を入れて広くなり、物がおけるようになった天井裏。

■ 新しく木を入れて広くなり、物がおけるようになった天井裏。

天井裏を広くするため、軒の間から天井裏にひく長い板を入れているところ。

■ 天井裏を広くするため、軒の間から天井裏にひく長い板を入れているところ。

■ 天井裏を広くするため、軒の間から天井裏にひく長い板を入れているところ。

知人が、天井に黒くて厚い紙状の物を寸法通りに切って、曲げているところ。

■ 知人が天井裏にひく、黒くて、厚い紙状の物を寸法通りに切って、折り曲げているところ。

■ 知人が天井裏にひく、黒くて、厚い紙状の物を寸法通りに切って、折り曲げているところ。

寝室と小さい部屋の部分の軒の板を取り外してみたところ。

■ 寝室と小さい部屋の部分の軒の板を取り外してみたところ。
この部分によく蜂が巣を作るのでネットを張った。

■ 寝室と小さい部屋の部分の軒の板を取り外してみたところ。
この部分によく蜂が巣を作るのでネットを張った。

玄関の壁をくりぬいて、ポストにしている家もある。

■ 玄関の壁をくりぬいて、ポストにしている家もある。
青いシ—ルは、郵便配達が入れるチラシ不要の印。

■ 玄関の壁をくりぬいて、ポストにしている家もある。
青いシ—ルは、郵便配達が入れるチラシ不要の印。

玄関にある郵便受け。

■ 玄関にある郵便受け。
ローマハウスでは、郵便受けの大きさ、色、位置など統一がなく、自由に付けている。

■ 玄関にある郵便受け。
ローマハウスでは、郵便受けの大きさ、色、位置など統一がなく、自由に付けている。

窓枠に付けた防犯用の金具。

■ 窓枠に付けた防犯用の金具。
外出する時は、必ず金具を閉めて行く。

■ 窓枠に付けた防犯用の金具。
外出する時は、必ず金具を閉めて行く。

PAGE TOP

Copyright © 2006-2015  The Scandinavian Architecture and Design Institute of Japan  All rights reserved.