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デンマーク ・ ヘルシンガーからの便り  23

「ローマハウスの統一性」

2010/09/30小野寺綾子 / ヘルシンガー

昨年8月末に亡くなった知人の建築家ヤコブさんの家が売られることになりました。
ヤコブさんはローマハウスに40年以上住んでいました。 この一年間ヤコブさんの息子と娘が、週末などに暇をみて残された膨大な遺品を整理していました。 未だにたくさんの書類や家具類が部屋に置かれており、部屋を空にする作業は進んでいない様子です。

一度はヘルシンガー市内に住む息子一家が移り住む計画があったようです。 息子が入居を諦めた最大の理由は、家の床をはがして土台にある古くなった床暖房の設備を新しくしなければならず、修理にかなりのお金がかかることでした。

8月末に不動産屋が、家を見に来たそうです。 まだ新聞広告にヤコブさんの家の売り出しは出ていません。 修理代もかかりますので、不動産価格は、少し低く見積もられるかもしれません。 ローマハウスの価格は、平均2.695.000クローネ(1クローナ15円の円高計算では約4千万円)前後で取引されます。 半年から一年など長期間家が長く売れない場合は、不動産広告価格を下げ、低い価格で売られます。 この春にヤコブさんの近くに住んでいた高齢の女性が特養ホームに入居したので、その家が売られました。 不動産価格は2百万クローネを下回っていました。 購入した人が、床暖房の修理をしなければならないので、価格を低く抑えられたと聞きました。 もっともローマハウスは国の文化財ですので、税金申告の時、収入から家の修理に使った金額を差し引くことができます。

ヘルシンガー市内では2.600.000クローネの金額で、一戸建て(約130平方)の約500uの庭付きの中古の家が買えます。 ローマハウスは一般住宅の価格と比較するとウッソンの知名度や住宅のユニークさで幾分高めに取引されています。

つい最近、ローマハウスの運営委員の役員をしている近所の人が拙宅のガレージにあるヘアニングランプの写真を撮っていました。 どうしてランプの写真を撮るのか聞いたところ、文化保存委員会の方にその写真を送るのだと教えてくれました。

ローマハウスは建られてから50年の間に多くの人に売買されてきました。 建物の外見など基本的なものは守られているものの、家が出来た当初より多少変化しています。 特に庭を囲む壁は、周りの家や道路から庭や居間が見えないように、従来低く設計された壁より高くした部分がかなりあります。

ローマハウスが完成した時、家に外のランプなど設計になかったので、各自好きなように取りけられたと聞いています。 30年以上前から2種類のランプが使用されています。 ある家ではヘアニングランプと呼ばれる広い傘のランプがガレージの上に付いています。 他の家では外壁にスコットランプという種類のランプが付いています。 外に郵便受け箱がある家と、受け箱の代わりにドアから直接新聞類を中に入れる家があります。 各家のドア、ガレージの茶色の色の濃さが明るかったり、黒みがかっていたり微妙に違います。

近所の8戸の外壁に取り付けられているランプを例にとると、電気工が適当に付けたため、ランプの位置がガレージから高さや間隔がバラバラです。 隣の家のランプは、付いている位置がちょうど目の高さにあり、夜はその家の前を通ると光が眩しすぎます。

グラフィックデザイナーの主人はこんな統一性に欠けるランプの付け方を見るといらだちます。 家によって家の番号の大きさや位置が違います。 隣の家は2か所に数字とローマ数字が両方ついています。 隣はこの20年間に4家族が移り住みましたので、いつの間にか二種類の数字が存在するようになったと思います。 ある家の番号は、外壁のランプの下にあったり、別な家は正面玄関の上にあります。 近所ではスコットランプが主流で、ヘアニングランプが付いている家は2件しかありません。

今のところローマハウスでランプを一種類のランプに統一して、機能的で美的に見える位置にランプを付け直す計画はありません。 住民は公務員や年金者の普通の人で、建築家やデザインの仕事をしているわけではありませんから、ランプの位置など細かい点にほとんど気を止めていないと思います。 建物が文化指定にされても、現状維持で、以前に勝手に替えたりした部分を本来建てられたように戻すことはしていません。

写真は全て小野寺綾子氏撮影
全ての内容について無断転載、改変を禁じます。

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ガレージの上に家の番号。

■ ガレージの上に家の番号、その上に傘が広いヘアニングランプがついている。
私が住む通りではヘアニングランプが付いている家は2件しかない。

■ ガレージの上に家の番号、その上に傘が広いヘアニングランプがついている。
私が住む通りではヘアニングランプが付いている家は2件しかない。

13番の家のスコットランプの位置と間隔は、21番、23番の家のランプと比べて付いている位置がガレージに近すぎている。

■ 13番の家のスコットランプの位置と間隔は、21番、23番の家のランプと比べて付いている位置がガレージに近すぎている。

■ 13番の家のスコットランプの位置と間隔は、21番、23番の家のランプと比べて付いている位置がガレージに近すぎている。

21番の家では、ガレージの上にローマ数字で21と書いてあり、玄関のドアの上に数字の21が付いていいる。

■ 21番の家では、ガレージの上にローマ数字で21と書いてあり、玄関のドアの上に数字の21が付いていいる。

■ 21番の家では、ガレージの上にローマ数字で21と書いてあり、玄関のドアの上に数字の21が付いていいる。

家の番号をランプの下に付けているとところもある。郵便配達などには、わかりやすく便利かもしれないが、ランプの位置が中途半端。

■ 家の番号をランプの下に付けているとところもある。郵便配達などには、わかりやすく便利かもしれないが、ランプの位置が中途半端。

■ 家の番号をランプの下に付けているとところもある。郵便配達などには、わかりやすく便利かもしれないが、ランプの位置が中途半端。

この家は家の番号が真ん中にあり、右手に郵便箱がついている。

■ この家は家の番号が真ん中にあり、右手に郵便箱がついている。

■ この家は家の番号が真ん中にあり、右手に郵便箱がついている。

3件ともドアやガレージの茶色の色が微妙に違っている。

■ 3件ともドアやガレージの茶色の色が微妙に違っている。

■ 3件ともドアやガレージの茶色の色が微妙に違っている。

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