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デンマーク ・ ヘルシンガーからの便り  21

「久しぶりの雪景色」

2010/01/22小野寺綾子 / ヘルシンガー

昨年12月7日から18日までCOP15(国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議)があり、日本でも連日コペンハーゲンで開催された会議の情報をテレビで見たり、新聞で読んだ方が多かったでしょう。
ベラセンターで行われたCOP15に出席した人は世界各国から約7000人、NGOの参加者や会議場へデモをするために内外から集まった人も含めると数万人の人が来たことになります。

町の通りや電車の中では、いつもより英語を話す人がたくさん見かけられました。 不況の中、2週間に渡ったこの国際会議はコペンハーゲン市内、近郊のホテル、飲食界、商業施設にとって福の神でした。
警察は10月上旬にコペンハーゲンで開かれたIOL国際オリンピック総会にオバマ大統領がシカゴ開催誘致の演説に来た時、半日も滞在しなかった大統領の厳重警備をしました。 これが予行演習となり、COP15会議の終盤オバマ大統領が再度コペンハーゲンに来た時は、余裕をもって警備ができたようです。

会議の期間中コペンハーゲン市庁舎前広場では、コペンハーゲンをもじって「Hopenhagen」と名付けられた未来の環境のための展示会がありました。
広場の中心には、暗くなると国が浮かびだす大きな地球儀がおかれ、そのすぐ脇には毎年市庁舎広場に設置される大きいクリスマスツリーがありました。 今回はクリスマスツリーを飾る電球のエネルギーを自転車でこぎ、その電力で電球の明るさが弱くなったり、強くなったりする仕掛けになっていて、観光客や子供たちに人気がありました。
緑色のネオンに飾られた小さなパビリオンでは電気の自動車、未来の町の計画、水の有効利用、街中の小型風車開発など環境に配慮した実験的な展示がありました。

歩行者道路ストロイエの広場では、自然保護団体が大きな氷で作られた白クマの像を展示しました。 地球温暖化で北極の氷が解け、白クマの生態系にも影響があることをアピールしていました。

コペンハーゲン市内の国立美術館を含めて3か所の美術館で、環境会議にちなんだ現代美術展があり、展示される作品は、空気、水、植物、光などを題材にしたものが印象的でした。

COP 15 環境会議の中ごろから雪が降り出して、寒さが厳しくなりました。 そのまま寒さが継続して、12月24日のクリスマスイブにあたりは白い雪景色となり、久しぶりに雪のクリスマスでした。 絵に描いたような北欧のホワイトクリスマスは約14年に1回くらいしかなく、たいていは曇り空や雨のクリスマスです。

自宅のあたりは、雪が消えては積り、現在20cmほどの降雪です。 日中も気温が上昇せず、零下の日々が続いています。 この10年ほど暖冬でしたので、このような長い厳しい冬は本当に珍しいです。

ローマハウスの暖房は床暖房だけで十分で、室内気温は20度前後に保っています。 床暖房用のお湯は市内に暖房、台所や風呂場の湯を供給する施設があり、そこからガス管のように地下を通って各家に来ます。 国内の家やアパートの60%はこのような外から暖房の熱を供給する形で暖房されています。 ローマハウスでは床暖房の他に薪ストーブを置いている住宅もあります。 特に夏に雨で気温が10度くらいに下がった時、早く部屋を暖めるのに重宝します。
以前は居間にストーブを置いて、居間の屋根から煙突が出ていましたが、国の文化保存委員会では居間の屋根から煙突が出るのは、建物の統一性を欠くので許可しなくなりました。 代わりにストーブを玄関あたりに置き、本来設計された煙突を利用して煙がでるようになっています。 地域暖房が始まる1970−80年代前は、各家のボイラー室で石油を使って暖房していました。

白い雪に覆われたローマハウスの景観もすてがたいです。
白い雪の風景に黄土色のレンガの家と壁が浮かび上がり、コントラストがきれいです。 丘はそり遊びに最適の場所で、子供たちがプラスチック製のそりを使って遊んでいます。

公共道路は、市の除雪車が来て雪を除雪しますが、家のすぐ前の道は、私道になるため自分たちで除雪して、滑り止めに塩をまいておく義務があります。
もし、通行人や郵便配達者が雪のために私道で滑った場合、家主が除雪義務を怠ったことになります。 雪は新潟の雪より軽くさらさらしているので、デッキブラシのような箒で掃けます。 ヘルシンガー市土木課に勤務する知人は、年末年始は降雪のため朝4時から、除雪の仕事をしていました。
デンマークでは労働者は、お金で超過勤務手当をもらうのではなく、超過勤務時間をためておき、別の日に振り替え休日をもらう仕組みになっています。

写真は全て小野寺綾子氏撮影
全ての内容について無断転載、改変を禁じます。

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コペンハーゲン市庁舎広場で開催されたHopenhagen 環境展示会

■ コペンハーゲン市庁舎広場で開催されたHopenhagen 環境展示会

■ コペンハーゲン市庁舎広場で開催されたHopenhagen 環境展示会

クリスマスツリーの電球を自転車をこいで点滅させる

■ クリスマスツリーの電球を自転車をこいで点滅させる

■ クリスマスツリーの電球を自転車をこいで点滅させる

国立美術館で展示された環境をテーマにした現代美術展

■ 国立美術館で展示された環境をテーマにした現代美術展

■ 国立美術館で展示された環境をテーマにした現代美術展

美術館であった環境をテーマにした現代美術展

■ 美術館であった環境をテーマにした現代美術展。
水を入れた大小ビニールの袋が数千個天井からぶら下がっていて、微妙にゆれている。

■ 美術館であった環境をテーマにした現代美術展。
水を入れた大小ビニールの袋が数千個天井からぶら下がっていて、微妙にゆれている。

市庁舎と広場のHopenhagen展覧会

■ 市庁舎と広場のHopenhagen展覧会

■ 市庁舎と広場のHopenhagen展覧会

12月中旬に降った雪

■ 12月中旬に降った雪

■ 12月中旬に降った雪

居間の屋根から出た薪ストーブの煙突と本来設計されている煙突

■ 居間の屋根から出た薪ストーブの煙突と本来設計されている煙突

■ 居間の屋根から出た薪ストーブの煙突と本来設計されている煙突

雪が積もったなだらかな丘は、そり遊びに持ってこいの場所

■ 雪が積もったなだらかな丘は、そり遊びに持ってこいの場所

■ 雪が積もったなだらかな丘は、そり遊びに持ってこいの場所

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