森の中の展望台とホルメゴーガラス工場跡
昨年7月、8月にコロナウイルスのためロックダウンして停滞した経済活性化のためにGo toキャンペーンがあり、電車や美術館、博物館の入場などが割引されました。 私も割引を利用してコペンハーゲンの南約55�qのハースレブ(Haslev)にあるギッセルフィルドクロスター荘園(Gisselfeld Klosters) の土地に建てられた展望台に行きました。 ギッセルフィルドクロスター荘園は創立が14世紀に遡る歴史的に非常に古い、デンマークで五番目に大きい荘園です。 南シーランドに3850ヘクタールの農地を所有し、その内2400ヘクタールは森林です。
2019年に3月末にオープンした「森のタワー」(Skov taarnet)と呼ばれる展望台は荘園の所有地キャンプ・アドベンチャーズ(Camp Adventures)と呼ばれるテーマパークにあります。 施設の呼び物は「森のタワー」と森林を利用して木から木へロープや滑車を使って空中移動することができるアスレチックスです。 子供や大人向けにレベルに応じて10のルートが選べます。
キャンプ・アドベンチャーズの入り口からブナ林の中に作られた木道を15分くらい歩くと、高さ45mの展望台があります。 外側を茶色の鉄骨で組み立てられた展望台は、一見丸太を束ねて組んだように見えます。 36本の支柱が650トンの鉄骨を支え、双曲線を描く中の歩道は上に向かって広がり、真ん中部分は鼓の胴のようにと狭まっています。 12ある双曲の道を登りながら上を見ると、円が作る大きな空間は開放的で、ダイナミックです。 道の途中に展望台のどの部分に到達したかという印があります。 春開園前の写真を見ると、鉄骨の展望台は芽吹き前の木々と同じ茶色で周囲の環境と同化しています。
設計はデンマークのエッフェクト(EFFEKT)、エンジニアはアラップです。 エッフェクトは2007年に始まり、BIGなどと同じ世代の建築事務所です。 道は板張りで、なだらかなこう配ですから、車いす、乳母車、老若男女だれでも無理なく頂上まで上がれます。 地上の登り口の円の広さと頂上の展望台の円の広さは28.4mで、周囲25�q、360℃の景観がのぞめます。 あたりは視界をさえぎる山や高い建物がなく、限りない緑の水平線が広がっています。 天気の良い日は遥かコペンハーゲン、ウアソン大橋、スウエーデン、マルメの名所ターニングトルソまで見えるとのことです。 展望台に大都市の方角を示すプレートがあり、東京までは8750�qです。
施設の入り口から林を通って、展望台の上まで往復すると約3.2�qの距離です。 展望台はシンプルで明快な形が評価されて、いくつも国際的な賞を受賞しています。 2022年に南ユトランドのドイツと国境の近くにある自然観察場にBIGが設計する展望台ができる予定です。 すでに隣国ドイツには高さが20mから45mの展望台が4か所あります。
展望台があるHaslev からさらにネストヴィスまで約20�q南下すると、ホルメゴーガラスの工場跡があります。 2020年5月に開館した美術館はホルメゴーヴァク (Holmegaard Vaerk)と呼ばれ、工場の建物の外見をそのまま保存する文化遺産として、1825年の初期から2008年に工場が閉鎖するまで生産されたホルメゴーガラスの長い歴史を振り返る展示場になりました。
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写真は全て小野寺綾子氏撮影
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