北欧建築・デザイン協会 The Scandinavian Architecture and Design Institute of Japan. |
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「仙台フィンランド健康福祉センター見学会」 |
筒井英雄 |
2008/08/01 |
■ 前面道路から見上げた「せんだいの館」柱手前の手摺廻りはグリーンスペース草花が入り、敷地内の木が大きく育つと全体の雰囲気は更に良くなると思われる。
仙台市とフィンランドとの共同プロジェクト「仙台フィンランドの健康福祉センター」の見学会が2008年8月1日(金)に行われました。 施設の様子や感想、見学会の様子などを筒井英雄氏に書いていただきました。
去る8月1日、かねてより注目していました仙台市の
『仙台フィンランド健康福祉センター』を北欧建築・デザイン協会の会員(非会員を含む)17名で見学会を行いました。
『仙台フィンランド健康福祉センター』はフィンランドの国家プロジェクトと仙台の
国際共同プロジェクトです。仙台市青葉区水の森に平成17年3月にオープンしました。
仙台フィンランド健康福祉センターを拠点に、高齢者の自立した生活を実現するために、フィンランドと日本の企業・大学が行うサービス・機器の開発を進めています。
プロジェクトの拠点施設となるのが下記の2つの施設で同一敷地内の住宅地に隣接して建てられています。
『研究開発館』(研究開発施設)はフィンランド企業と地域企業が共同で健康・福祉関連の新サービス・新商品の開発を行っています。
館内には企業向けの入居スペースや製品の展示スペースがあります。又平面は展示スペース、会議・交流スペース、研究開発室(8室)その他で構成され地域の企業とフィンランド企業大学等の学術機関、ユーザーとの連携しながら健康福祉機器・サービスの共同研究開発・事業開発を行なっています。
『せんだんの館・テルベ』(特別擁護老人ホーム)は、フィンランド型福祉を取り入れた
新しい高齢者福祉サービスを提供しています。
又東北福祉大学関連の社会福祉法人会が 設置され、フィンランド型福祉の予防を中心とするコンセプトを取り入れながら運営されています。 内容は、リハビリ等による高齢者の自立支援、プライバシー重視等による高齢者の尊厳の確保、社会性の確保(コミュ二ティの役割)入所者と地域の交流を通して入所者の社会性の確保することを目指しています。
研究開発館は、第18回「日経オフイス賞」で経済産業大臣賞を受賞するなど、快適 で機能的なオフイスビルとも話題になりました。 施設の詳細及び案内はセンターのWebサイト(http://sendai.fwbc.jp)でご覧下さい。
見学会は12時に現地で集合し、施設内のカフェテリアでフィンランドランチを頂いた後、 研究開発館の会議室で施設の事前説明を運営主体である(財)仙台市産業振興事業団の 職員から説明を受けました。
開発館の館長 カルッピネン・メイヤさんから2009年8月よりフィンランドの3つの大学で「AALTO大学」がスタートすることの紹介がありました。
また フィンランドと仙台とでの事業提携の現況、ビジネスコラボレーションとして共同開発の
3つのステージ、高齢者が自立して暮らす既存マンションリフォームや開発研究の現況説明
が行われ、どれも大変興味のある内容でした。
仙台市とフィンランドとが共同プロジェクトになった経緯や施設内容に多くの質問が ありましたが、施設見学の時間が不足するので見学をさせて頂きました。
『せんだんの館・テルベ』は、地下1階地上5階の建物で小規模単位型介護施設ユニットケアが行われ全室個室で定員100名、4階の半分位が35人のデイサービスと20名の ショートステイになっています。
玄関から、フロント玄関・交流ホール・カフェテリアに至る空間は木質の感じのする インテリアでフィンランドや北欧家具に照明器具など大変に良くコーディネイトされており、北欧にいるような雰囲気を感じさせられました。 又リハビリ空間や流れのある温水プールなどはカラフルで楽しい空間でした。 2〜4階のデイルーム,共用浴室、個室の入り口から室内の隅々まで神経の行き届いた空間は共同プロジェクトに相応しい内容でした。
また研究開発された洗える低床ベット(畳マット)が研究開発された商品として目を留めました。
その他研究開発された品々が国際福祉機器展にも出展されているようです。 ITの福祉利用もかなり進んでいるようで、詳細を知りたいところでした。
また仙台市とフィンランドで共同開発された施設は内容が豊富で短時間では充分に理解出来ないほどでした。
参加者の中には福祉関係の人も多く、専門的な質問もあり、ここでも時間切れになり最後のミーティングも予定の時間を大幅に過ぎましたが良い見学会となりました。
この施設は仙台市とフィンランドの協同のプロジェクトであり、ITなどを活用した自立支援や在宅介護支援の付加価値の高い健康福祉機器、サービスの研究開発を目的とし、
多数の大学の研究機関、高い開発能力を持つ中少企業が集積し産学連携し相互に緊密な
連携をとりながら施設運営を進めているところが大変にユニークな施設だと思います。
今回の見学会では、当初より事務局の赤羽さんにお世話になり運営に携わる方々より
丁寧な説明を頂き有意義な見学会になりました。
見学後の皆様の感想は、施設内部は好印象のようでしたが、外部の環境や2つの建物の
造形については共同開発されたフィンランドとのイメージが重ならない印象を受けたようでした。
もう少し時間が経過して敷地廻りの樹木が大きく育ち緑で囲われたら 杜の都「仙台」に相応しい素晴らしい施設になると思います。
* 仙台フィンランド健康福祉センターの写真、その他
多少の資料がございますので、ご希望の方は 筒井
e-mail (info@sadi.jp) までご連絡下さい。
筒井英雄 記
■ 前面道路から両施設の入り口部分
■ 「研究開発館」の正面、フィンランド建築のように多少感じられる
■ 玄関近くのコ・デザインスペースで施設案内の映像が見られる、壁面には研究開発された展示スペースとパネルその他多くの展示がされている
■ 開発された血圧測定器の展示、実際は施設の介護情報用PCで管理され、どこで計測してもデーターとして保存、利用される。
■ 高齢者の為に開発されたPCのキーボード、シンプルで使いやすいように工夫され、その他多くのIT関連機器が開発されている
■ ブレーンストーミングラウンジの一部、家具、照明、テキスタイルはフィンランドを中心に北欧製品でコーディネイトされている
■ 交流ホールの奥にある音楽コーナー、ピアノ、カラオケが準備され、当日は懐かしい歌の合唱をしていました
■ アールのついた木製衝立がいたるところにありプライバシーの保護と木質のインテリアを感じさせるのに役立っていました
■ トレーニングルーム、天井から筋力トレーニンググローブが下げられ、窓際に運動器具が配置されていて、左窓越しに温水プールが見られる
■ 温水プールは流速が変えられ個人の体力に応じた運動が可能になる、スペースは狭くても、流速と合わせて利用の可能性が広くなる
■ 身体の状況に応じた機器が用意され、機能的にまとめられている
■
写真は全て筒井英雄氏撮影
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